大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和家庭裁判所 昭和37年(家)915号 審判

申立人 浅野きい(仮名)

主文

埼玉県岩槻市役所備付の本籍埼玉県岩槻市大字浮谷○○番地ノ○戸籍筆頭者浅野初男の戸籍中、妹、きいの身分事項欄中の国籍喪失届は錯誤につき、同記録を消除し、同人を同戸籍の末尾に回復することを許可する。

理由

申立人は、主文同旨の審判を求め、その理由として、申立人は昭和二十三年三月頃から国籍中華民国江蘇省円徒県鎮江西門外楊林村金永春と内縁関係に入り事実上の婚姻をなし、肩書住所に於いて、中華料理店を経営し現在に至つているが、申立人の埼玉県岩槻市大字浮谷○○番地の○の戸籍は、申立人が昭和二十三年九月二十五日中華民国江蘇省円徒県鎮江西門外楊林村金永春と婚姻し中華民国の国籍を取得したとして、国籍喪失の記載がなされて除籍されている。しかしながら申立人は婚姻の届出の事実がなく内縁の関係にすぎないから、昭和二十四年二月二十四日金永春より当時南埼玉郡柏崎村長柳田善太郎に対する国籍喪失届に基いてなされた戸籍の記載は錯誤による記載であるから、これが訂正を求めるため、本申立に及んだというのである。

よつて本件記録に添付してある戸籍謄本、昭和三十七年四月二十五日浦和地方法務局越ヶ谷支局長大島政次郎作成の国籍喪失届及臨時国籍証明書謄本、昭和三十七年四月二十七日及同年六月一日付浦和家庭裁判所調査官竹前達矣作成の調査報告書の各記載ならびに申立人審問の結果を綜合すると申立人の主張事実を認めることができ、右の事実からすれば、本件申立は理由がある。

よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 岡咲恕一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例